原紗友里監督作品「住まいリング」が味わい深かった

デレラジDVD4の「デレラジプロデュース 10代最後の思い出編」で飯屋が撮ったS(mile)ING!のPVの話。 まぁ飯屋のことだからおもしろPV作ったんだろうなと思ってたところ、撮影場所やら小道具が色々おかしいのに、PVとしては面白いだけじゃなくて意外に見どころのあるものを出してきた件。 なんというか、ニコマスのPV系MADで内容自体はガチなのに「ネタを挟まないと死んじゃう病」タグを付けたくなるようなのとか、映像は謎素材なのに無駄に歌詞とシンクロしてる動画とか、そういうのに似た味わい深さがあった。 てことでそのへんのことについて書くよ。

こっから下はPVのキャプチャを貼るけど、まだ見てない人はまず先に実際の映像を一度は見てから読むことをおすすめします。

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OK、見てきた? じゃあ行きます。

まずPV始まって最初のシーン。 襖が開いてカメラが中に進んだところで上を向いて、天井の眩しい光で画面がいっぱいになるところから始まる。


よくある演出だけど、このイントロ数秒で物語の始まりを感じて引き込まれる感覚はなかなか。 見返してて気づいたけどステージに上がる瞬間を模した描写にも見える。

「隣に並ぶみんなは」

「まぶしく きらめくダイヤモンド」

まず「隣に並ぶみんな」をアップで長めに映した後に、それをまぶしそうに眺める自分を映すっていう流れ。 見せ方が上手い。 あと、この次のシーンとのつながりも意味ありげに見える。

「スポットライトにDive!」

「私らしさ光るVoice!」

歌詞の「スポットライト」にぼんぼりを合わせただけじゃなくて、右側・左側の絵を続けて見せることで先のシーンとは見せ方を変えて「隣に並ぶみんな」と自分、スポットライトに飛び込む前後の自分みたいな対比を表現しようとした風にも見えるし、何よりこの次の、

「聞いて欲しいんだ おっきな夢とメロディ」

ここで正面向いて語りかけるように歌うところ、この自分の気持ちをまっすぐに伝えようとするシーンとつながるよう、三段階で切り替えて見せてくるこの流れ、これがすごい印象的な演出になってる。 加えて、PVが始まってからこのカットまでカメラ目線になることが無くて、サビに向かっての「溜め」があるし、「聞いて欲しいんだ」っていう歌詞にも強さが増すようになってる。

「さあクヨクヨに 今サヨナラ」

この抜刀も、「今サヨナラ」って歌詞に絵的な面白さ乗っけつつ、サビに入る直前で一層盛り上げるっていうここまでの一連の流れ、サビに向かっての盛り上げ方・引き込み方がすごいと思った。

「Live! 『おしまい』なんてない」

この終盤のスローを使った見せ方もすごい印象的。 言葉で表現するのが難しいけど、なりたい自分になれた、とか、夢を掴めたっていう感じと、ただそれがまだ夢なのか現実なのかははっきり描かれてないような感じにも見える。



といった感じで、絵面だけならS(mile)ING!の曲のイメージとは無茶苦茶だから最初こそ笑いながら見るんだけど、よくよく見てみるといろんな演出意図が練りこまれてるようにも見えて面白いし、そういう意味で「住まいリング」には不思議な味わい深さがあって面白かった。 はっしーも一票入れてたけど、見た目に反してよく出来たPVを作ってもらえたんじゃないかと思うw

先日飯屋がゲストに来てたアイマスタジオだと、パーソナリティの二人がやたらといじって面白いところを無理やり引き出そうとしてる感じがして、聴いててあまりいい気分ではなかったんだけど、今回この企画で自由にやらせて出てきた結果を見てたら、どこまでが狙ってやったものなのかはわからないけど、この人いっつも見え方とかそういうことを色々考えてるんだろうなぁって思えてなんか感心した。 面白くしようとしてるってのは確かにそうなんだけど、それだけじゃなくて裏では何か表現したいもの伝えたいものも(当たり前だけど)ちゃんと持ってるように感じて、出来上がったPV見てたらこの人のイメージさらに上がった。 普通に笑ってそれでおしまいで流してしまってもよかったのに、それだけじゃどうにも気が済まなくてこうして1エントリ建てて書きたくなるくらいのPVを出してきたんだから、原紗友里すげえなと思う。 「清い」だけじゃなく「ぱねえ」もサジェストされるようになるべき。